マイクロオーダー成形品の
製品化と量産化をフルサポート
積水テクノ成型は、既存品や新商品を問わず、「マイクロオーダー※1成形品」の開発をサポートします。
SEKISUIグループの技術ノウハウと開発リソース、生産体制などをフル活用して、お客様が理想とする製品を商品企画から試作品開発・検証テストを行いながら、量産化までを実現します。
プラスチック成形品のSEKISUIとともに、新しい付加価値を持つモノづくりに挑戦しましょう。
超微細プラスチック成形品(射出成形/インジェクション)
[マイクロオーダー成形品]
従来の射出成形技術(インジェクション)※2では対応できなかった、
数十ミクロンレベルの、マイクロ凹凸表面形状をもつプラスチック成形品を開発中です(写真1)。
高さ20μmのリブ形状や、高さ15μm+勾配の小さい凸形状といった
超高精度マイクロオーダーの射出成形を実現。これにより、バイオ・医療の研究開発機器から、
最先端の車載センシング部品、スマホなど情報通信機器の微細エレクトロニクス部品まで、
幅広い産業ジャンルのお客様へのお役立ちが可能になりました。
新ビジネスのイノベーションや、既存製品への付加価値の追求をSEKISUIが強力にサポートさせていただきます。
マイクロオーダー成形品の特長
インジェクション技術・ノウハウを
マイクロ射出成形へ進化・応用
昨今、医療・バイオサイエンスや、半導体、情報・通信の研究・開発分野でマイクロオーダー射出成形市場の急成長が見込まれています。マイクロオーダー射出成形とは、数十ミクロンレベルの凹凸といった表面を持つプラスチック成形品(以下、成形品)を「射出成形」で作り出すこと。従来は、シリコン樹脂ブロックや板材からの表面形状の削り出しや、超微細加工された金型へのシリコン樹脂流し込みによって、マイクロオーダーの成形品づくりを行っていましたが、作業時間、成形品質、コストの面において大量生産が難しいという課題がありました。
積水テクノ成型は、長年培った射出成形技術による量産化メリットを活かした『マイクロオーダー成形品』の研究・開発を継続(図1-1、1-2)。その先鞭として医療・バイオサイエンス分野で使われるマイクロウェルやマイクロプレート、細胞培養容器などの底面部に微細パターン成形を施すことで、「超撥水性※3」といった価値付与を目指して開発を進めています。
これにより培養法や顕微鏡による新観察、各種アッセイなどの“新しい発見”につながることを期待しています。衛生面、手間の観点から使い捨て化(ディスポーザブル化※4)が進む医療・バイオ分野において、射出成形の最大メリットである量産性と、コストダウンをお客様へご提供します。
リブ形状や勾配の小さい凸形状で
射出成形の強みをフルに活かす
『マイクロオーダー成形品』は、通常の射出成形品と同じく、ポリカーボネート(PC)※4やオレフィン系樹脂などが利用可能。汎用樹脂の特性を活かし、硬くて剛性と耐久性が高く、使いやすい成形品を量産化できます。
リブ形状や凹凸形状、流路形状以外にも、ロータス効果※5による反射や撥水、防汚性能をもたらす、バイオミメティクス※6を応用した「モスアイ構造※7」にも応用可能です(図2)。
高アスペクト比※8を誇る微細金型技術と、最新のマイクロ射出成形技術を駆使し、SEKISUIによる確かな成形品づくりのノウハウによって、お客様が成形品にご要望する性能や機能、付加価値を追求します(写真2-1〜4)。
マイクロパターン レーザー顕微鏡観察像(低倍率)
マイクロパターン レーザー顕微鏡観察像(高倍率)
撥水リブ レーザー顕微鏡観察像(低倍率)
撥水リブ レーザー顕微鏡観察像(高倍率)
成形品に機能と新たな価値を追加
連続する凸形状によって
フッ素コートなしで撥水性を実現
成形品表面に撥水性と親水性の2つの機能を付加できます。碁盤の目状にピラー構造※9を並べて成形し、接触角130°以上の撥水性を実現。
フッ素コーティングを施さなくても、接触角150°以上の「超撥水性」を実現するため、さらなる開発を進めています。(グラフ、写真3)。
撥水リブ形状 純水の接触角測定結果(開発品)
マイクロオーダー成形品の応用ジャンル
医療・バイオサイエンスをはじめ
お客様ビジネスの新価値を共創
マイクロオーダー成形品は、医療・バイオサイエンス分野をはじめ、光学機器や情報通信機器など情報電子産業分野から急速なニーズが見込まれています。
例えばMEMSやNEMS※10に代表される微細加工技術を要するデバイス製造にも、マイクロオーダー成形技術により具現化が可能になります。
その他、バイオミメティクス応用の工業製品の微細成形部品の開発・製造にも微細化成形部品が欠かせません。
既存製品の置き換えはもちろん、新しい発想の開発から量産化まで、多面的な技術の応用が見込めます。積水テクノ成型は、お客様のパートナーとなって、マイクロオーダー成形品を最適化させ、試作から製品化までトータルで支援いたします。
バイオ研究開発
医療 医薬開発・製造
半導体開発・製造
情報携帯端末
環境製品研究開発
食品研究開発
図3:新製品や既存製品にかぎらず、様々な産業ビジネスへの機器や用品などの工業製品づくりへの技術応用が見込める
バイオや医療・医薬の研究開発品からバイオミメティクス応用の工業製品まで対応可能!
お客様対応フローと生産体制
製品研究開発者様や製造エンジニア様と
マイクロオーダー成形品の製品化を目指す
積水テクノ成型は、マイクロオーダー成形品を必要とされる各産業ジャンルでご活躍するエンジニア様にスペックや環境条件などの仕様要件にベストマッチするよう設計から試作生産、評価試験、さらに量産化までトータルでご提供します(図4)。
既存の成形品への機能追加のほか世の中にまだない新コンセプトの成形品づくりの開発まで、金型設計から樹脂の種類、グレード選定まですべてご支援可能です。
プラスチック成形のリーディングカンパニーであるSEKISUIグループの技術ノウハウや、量産化インフラ設備と、グループ内外の開発・製造ネットワークを活かし、どこよりも迅速かつ着実にプロジェクトを進めて参ります。
積水テクノ成型の高度な射出成形技術と
CAE解析による信頼性重視のモノづくり
製品開発において、部品開発エンジニア様との密接な関係を構築しながら、設計から試作品製作、製品化・量産にいたるまで手厚くサポートさせていただきます。
積水テクノ成型は、「車輌部品」「産業用品」「土木資材用品」の3つの分野での射出成形事業を基幹ビジネスとし、特に車輌部品関連では、高い意匠性と機能性が求められる、外装や内装部品づくりの開発・生産技術、ノウハウを保有。CAE解析※11をもとにした設計から、金型・成形・加工まで一貫した生産工程を実現しています(写真4)。
国内に3拠点、海外に1拠点の生産工場があり、大型射出成型機や各種付帯設備など充実した生産設備、検査装置を有します。プラスチック素材自体や高度な射出成形技術、エンジニアリングのノウハウを活かせることは、積水テクノ成型としてのグループ力ならびSEKISUIブランドならではの最大のメリットです。
様々な産業ビジネスでの成形品に実績多数
SEKISUIの技術とノウハウで完全サポート
積水テクノ成型は、エレクトロニクス、モビリティ、住インフラをはじめ、様々な産業ビジネスにおいて膨大なデータを有し、高機能プラスチックと樹脂成形に関する高度な開発技術と生産ノウハウ、大量生産体制を保有(写真5)。マイクロオーダー成形品で問題になりがちな、キャビティへの流し込みや、金型からの成形品の取り出し(突出し)も解決しました。お客様の高度かつ多彩な要求品質にあわせたカスタマイズ、材料開発も可能です。
用語解説
※1 マイクロオーダー
正確には、マイクロメートル(μm)オーダーといい、プロダクツ自体や、機械・装置などの生成物についてμm単位の精度が求められるものの総称。
※2 射出成形技術(インジェクション)
材料を加熱溶融し、金型に射出して成形品を作り出す技術。「インジェクション成形」とも呼ぶ。プラスチック成形品の場合は、その材料が「樹脂」にあたる。高温で樹脂を溶かして金型内部に押し込み、その後冷却することで「プラスチック成形品」となる。
※3 超撥水性
撥水とは水を弾く性能のことで、「超撥水性」とは甚だしく撥水性が高い状態をいう。対象物の表面に水滴を落とし、水滴と表面との接触角が150°以上の状態にある場合、超撥水と呼ぶ。
※4 ポリカーボネート(PC)
分子構造内に炭酸エステル構造を持つポリマーの総称(PCは省略語)。「脂肪族」「芳香族」の2系統あり、工業製品の多くは後者のこと。透明性と耐候性、耐衝撃性、耐熱性に優れるため、耐久性や耐環境性の高さが求められる、自動車部品や建造物、医療・研究開発用品など応用範囲が広い。
※5 ロータス効果
植物のハスの葉が持つ微細な凹凸面により、水滴が表面張力によって球体状に丸まって、転がりながら泥や汚れを絡め取り、落下する。この現象をロータス効果と呼ぶ。
※6 バイオミメティクス
生物の機能・構造などを観察・分析し、それを元にして工業製品などのモノづくり技術のアイデアとして応用する科学技術の総称。
※7 モスアイ構造
蛾(モス)の複眼(アイ)表面に形成される、ナノレベルでの凹凸状の突起構造を模したもの。釣鐘状の表面構造がもたらすロータス効果で防水・防汚機能ほか、高度な反射防止機能を実現できる。すでに液晶パネルのフィルムをはじめ、工業製品用反射防止フィルムやシート材など、幅広いジャンルの製品技術として社会実装化されている。
※8 高アスペクト比
一般的には、長方形の2つの辺(縦と横)の長さの比率のことをいい、様々な「ものの形状」を論じるときに用いる場合が多い。射出成形の場合、プラスチック板の「成形長(L)」と「厚さ(T)」の比をアスペクト比という。高アスペクト比であるとは、同じ厚さであれば成形物が大きく、成形物が同じ大きさであれば薄いことであり、高アスペクト比のものは成形が高難度である。
※9 ピラー構造
ピラーとは、「柱(pillar)」という意味。柱状にプラスチック成形された突起物のこと。
※10 MEMSやNEMS
「MEMS(メムス、Micro Electro Mechanical Systemsの略)」は、シリコンやガラス素材に、微細化技術によって集積化した半導体デバイスのこと。「NEMS(ネムス、Nano Electro Mechanical Systemsの略)」は、nm(ナノメートル)オーダーの半導体集積回路技術で作られたデバイスである。微細化加工技術の進歩によって、MEMSより微細・微小なメカニズムの製作が可能になり、NEMSを実現できるようになった。
※11 CAE解析
「CAE(Computer Aided Engineeringの略)」は、設計段階において開発製品に性能的な問題がないかシミュレーションを実施し、工程設計の事前検討をサポートするシステム。例えば、実製品で想定される荷重に対する応力を解析し、強度が不足する部分を特定。また、流動解析により、金型キャビティの末端まで樹脂が充填されるかも確認できる。